第1回GBJ賞表彰式を行いました

「GBJ賞」は、会員による優秀な著書および論⽂に対し、その業績を広く顕彰することを⽬的として、2021年度より設けられました。

記念すべき第1回目は、2021年7月7日(水)第9回定時総会と同日に行われ、受賞者には、表彰状、及び副賞として卓上置時計が送られました。

GBJ賞〔著書部門〕
タイトル:Public Relations in Hyper-globalization: Essential Relationship Management – A Japan Perspective
著 者 :Takashi Inoue, Ph.D.
会員の著書紹介

英国大手ラウトレッジ(Routledge)社から出版された本書では「ハイパー・グローバリゼーション」を、「経済やビジネスの広範なグローバル化」、「インターネットとSNSによるデジタル通信」、「AIとビッグデータの破壊的技術革新」という3つの独自視点から定義したうえで、20世紀には存在しなかった新しい社会環境の出現を指摘しており、実務的・戦略的なパブリック・リレーションズの観点から、マルチステークホルダーリレーションシップマネジメントの必要性と実効性が帰納法を用いて述べられている。
一方、学術分野からは、国際的な権威である米国のグルーニグ、ブルーム、そして小林によるレビューにおいて「パブリック・リレーションズ分野で日本を代表する専門家である著者がステークホルダーリレーションシップマネジメントおよび自己修正モデルを定義し、パブリック・リレーションズがグローバルな事象に対応できることを多くの事例を通して説得的に論証し、有益なインサイトを提供する必読の書」とも評価されている。
これらの意味において、本研究は実務とアカデミズムが融合した知見と知恵の成果を独自性・有用性をもって示しつつ、ハイパー化、グローバル化におけるパブリック・リレーションズの新たなマイルストーン的業績であることから、第1回GBJ賞〔著書部門〕に相応しいと評価した。

GBJ賞〔論文部門〕
タイトル:鉱山ポートフォリオの長期最適化
著  者:村上 啓二 小林 潔司 瀬木 俊輔
鉱山ポートフォリオの長期最適化

本論文では、商社における鉱山事業を対象として収益やキャッシュフローを平準化させるため鉱山ポートフォリオを形成することにより、事業リスクをコントロールする長期最適化モデルの開発を行っている。さらに、鉱山売買取引の具体事例によるモデル計算を実施し、鉱山事業の実態に近い結果が得られたことより、構築されたモデルの信頼度が高いことが示されている。従来から金融工学に基づく投資家サイドの評価モデルは多数存在するが、事業会社としての商社を対象として鉱山ポートフォリオの長期最適化モデルを構築した本研究は新規性および有用性が高い。本論文はポートフォリオマネジメントに関わる研究に新たな発展をもたらしており、GBJ賞〔論文部門〕に相応しいと評価した。