第3回GBJ賞表彰式を行いました

「GBJ賞」は、会員による優秀な著書および論⽂に対し、その業績を広く顕彰することを⽬的として、2021年度より設けられました。

第3回目賞表彰式は、2023年7月15日(土)開催の第11回定時総会と同日に行われ、受賞者には表彰状、および副賞として卓上置時計が授与されました。

GBJ賞〔著書部門〕
タイトル:Depopulation, Aging, and Living Environments – Learning from Social Capital and Mountainous Areas in Japan
著 者 :堤 研二
会員の著書紹介

【授賞理由】
日本の過疎地域を対象としたフィールドワークをもとに、ソーシャル・キャピタルにも目を向けつつ、人口減少地域社会の人口流出の実態や地域生活機能の衰退を分析し、また、地域社会の持続可能性に関する新たな視点が提示されている。その視野は、山間地域・炭鉱閉山地域にとどまらず、大都市圏内ニュータウンなどのシュリンキング・シティズにも向けられており、単なる「過疎」地域の問題として捉えられてきたものを、「地域空間の縁辺化」の問題として中範囲論的に把握しようとしている点が独創的である。日本の過疎地域における社会課題に取り組み、先進国の縮小する社会問題に対して示唆を与えるものであり、社会的貢献度が高い。以上より、GBJ賞に相応しいと評価した。

GBJ賞〔論文部門〕
タイトル:栄養プロファイル制度(Nutri-Score)導入への生活習慣や性格の違いによる効果-日本の大学生アンケートを基にして
著  者:森 一将、浅川 雅美、櫻井 宏明

栄養プロファイル制度(Nutri-Score)導入への生活習慣や性格の違いによる効果

【授賞理由】
本論文は、日本の大学生を対象として欧州で導入されている栄養プロファイル(Nutri-Score)の予測評価、制度導入の賛否について、生活習慣やパーソナリティ特性との関係を分析している。その結果、第1に接触・摂取頻度が高い食品ほど予想した栄養の評価と栄養プロファイルの誤差が大きい、第2に協調性が高い被験者ほど高栄養食品を過少に評価する等パーソナリティ特性による食品評価の違いがみられた、そして、第3に栄養プロファイル制度に反対する回答者は活発で行動的であることであることが明示された。これらの発見事項は食品表示制度という新政策の導入が食品栄養に関する意識向上、健康増進に貢献しうる重要な政策的含意を示している。また、ビジネスの観点からは、当該制度導入とともに高栄養食品が正当に評価される可能性を示唆したことなど食品業界を中心に与えるインパクトは大きいと考えられる。これらを踏まえて本論文がGBJ賞(論文部門)に相応しいと評価した。