学会について

学会紹介

2011年3月の東日本大震災で甚大な被害を受けた日本社会は、企業活動がグローバル社会の中で展開するサプライチェーンに高度に依存していることを改めて認識しました。国籍や国境を希薄化させるグローバリゼーションの深化は、地理的な繋がりのみならず、あらゆる活動が様々なレベルでネットワーク状に連鎖していることを意味します。3・11の教訓は、まさに、これを証明する出来事でした。

地球規模で変化が進みグローバル化が加速する中、経済大国日本への世界の期待と関心は相変わらず高いものがあるものの、その求心力は残念ながら急速に衰えつつあるのも現実です。こうした混迷が続く社会情勢にあって、各分野で新しい変化に対応できる人材育成が、我が国の喫緊の課題として浮上しています。

「グローバルビジネス」は、単に全世界的な事業展開を行うことにとどまらず、企業や個人が、経営資源を用いて目的達成のためにさまざまな地域のステークホルダーと状況の変化を見ながら、良好な関係構築を行い業務遂行することにあります。多様な価値観が混在するグローバル社会にあっては、共通の土台が求められており、倫理観に支えられたコミュニケーション能力に加え、必要なときに自らを修正できる能力が不可欠です。

本学会は、こうした人材を育成し、社会科学、人文科学、自然科学といった専門分野を越えた、グローバルビジネスに関する課題克服に向けた道標を提供し、国内はもとより広く国際社会に貢献して参ります。

設立目的

グローバルビジネス学会は、グローバルビジネスに関する研究発表、知見や知識の交換、会員相互および内外の関連学会と連携強化を図ることにより、国内経済の活性化はもとより、世界経済の発展に寄与する人材の育成を目的とした学術団体です。

グローバルビジネスという広大で多岐にわたる、勝れて実務的な研究領域にアプローチし、グローバルビジネス実務の進展と研究の発展を図り、さらには、国際的な連携を深めていくための人材を育成するため、グローバルビジネス学会が設立されました。

グローバルビジネス学会では、大学関係者・企業等の研究者の参画にとどまらず、経営、技術、生産、人事、労務、法務、財務、マーケティング、パブリック・リレーションズ(広報)などの分野において、新しい変化に対応できる担当者や実務専門家のご参画を期待しています。

学会概要

役員構成

理事長(1名)、会長(1名)、副会長(1名)、常務理事、理事、監事

委員会

  1. 論文編集委員会
  2. 学会賞選考委員会

会員の構成

  1. 個人会員・学生会員
  2. 法人会員
  3. 賛助会員

組織図

グローバルビジネス学会組織図

会長挨拶

丹羽宇一郎前会長からバトンを受け、この度グローバルビジネス学会の会長をお引き受けすることになりました。大竹美喜初代会長から数えて3代目となりますが、大先輩方が育てた学会をさらに充実させていけるよう、力を尽くしたいと存じます。

日本は戦後から安全保障を米国に頼ることによって、経済成長を遂げてきた側面があります。そしてビジネスは、グローバル化の一途をたどりました。昨今はさらに、慣れ親しんだ国際秩序の変化も示唆されるようになってきています。安全保障や国際政治がかつてないほどビジネスに影響を与えることも考えられます。その台風の目は米国や中国かも知れませんが、よく見ると両国とも国内政治に最も影響されている、そんな時代を迎えつつあるようです。

グローバルビジネス学会は、社会科学、人文科学、自然科学といった学術研究を基盤にしながらも、多くの実務家の皆様にもご参画いただき、実務領域にアプローチすることを目指しています。

日本と世界の発展に寄与するための学会として、グローバルビジネス学会創設以来の秀でた特徴を十分に発揮できるよう、皆様と共に取り組んでまいります。

会長 中林美恵子

理事長挨拶

2021年度の総会の議決をもって理事長を務めることとなりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

学会名に冠せられた「グローバル」には「国際的」だけでなく「大域的」「大局的」の意味も込められていると考えます。

会員の皆様のご専門、ご所属を見渡しますと学際横断的、文理融合的であり、また研究者も実務家もご参加いただいております。毎年の発表会は「大域的」、すなわち広範なテーマが取り上げられており、活発な議論が繰り広げられます。

学究の徒はしばしば視野が狭隘になりがちです。学会として専門性をきわめることはもちろんですが「大局的」な視野のもと、社会にとっての、人類にとっての真の価値を求め、深め、世に問うていくことも求められているはずです。

特徴あるこの学会を、どのように企画していくか、運営していくか、中林美恵子会長、平林信隆副会長の方針のもとで事務局の皆様とともに理事長としてのミッションを考え、行動して参る所存です。

本学会を盤石に築き上げられた小林潔司前理事長の手腕、才覚には遠く及びませんが、粉骨砕身努めてまいります。学会内外の皆様のご協力ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。

理事長 秀島栄三

役員・アドバイザリーボード・顧問

会長

中林美恵子 早稲田大学教授

理事長

秀島栄三 名古屋工業大学大学院工学研究科教授

副会長

平林信隆 共栄大学国際経営学部教授

常務理事(50音順)

金森サヤ子 大阪大学全学教育推進機構教授

北野尚宏 早稲田大学理工学術院国際理工学センター教授

森一将 千葉大学国際未来教育基幹准教授

理事(50音順)

今永典秀 名古屋産業大学現代ビジネス学部経営専門職学科准教授

尾上玲円奈 株式会社井之上パブリックリレーションズ執行役員 / 京都大学経営管理大学院特命准教授

河合美香 明星大学経営学部経営学科教授

小西美穂 関西学院大学総合政策学部特別客員教授

佐々木一成 通訳案内士 / 日本年金学会員

笹谷秀光 千葉商科大学・客員教授

関口和一 株式会社MM総研代表取締役所長

高村義晴 日本大学理工学部まちづくり工学科特任教授

田村敬一 株式会社長大執行役員 技師長 / 京都大学経営管理大学院特命教授

仲浩史 公益財団法人日本内部監査研究所評議員

南砂 読売新聞東京本社常務取締役調査研究担当

村井曉子 京都大学経営管理大学院客員准教授

村上啓二 立命館大学大学院経営管理研究科 教授

監事

沢木ニコラ 新日本有限責任監査法人シニアパートナー

堤研二 大阪大学 総長補佐・大学院人文学研究科教授

アドバイザリーボード

丹羽宇一郎

日中友好協会会長 / グローバルビジネス学会名誉会長
(元伊藤忠商事会長 / 元中国大使)

林康夫 日本貿易振興機構顧問
橋本徹 一般財団法人 日本経済研究所 理事 / 国際基督教大学前理事長 / 元富士銀行頭取
岩﨑哲夫 株式会社IIOSS取締役会長 コファウンダー

顧問

沢木 ニコラ 新日本有限責任監査法人シニアパートナー

堤 研二 大阪大学  総長補佐・大学院人文学研究科教授

丹羽宇一郎   日中友好協会会長 / グローバルビジネス学会名誉会長(元伊藤忠商事会長 / 元中国大使)

退任のごあいさつ

このたび、2014年9月から務めておりました一般社団法人グローバルビジネス学会の会長職のバトンを、次期会長の中林美恵子先生にお譲りすることになりました。
約7年間の任期でしたが、この間、米国はオバマからトランプ、バイデン大統領と2回の政権交代を経験、私がかつて大使を務めた中国は経済的覇権を強める一方、政治的には孤立化への道を進んできました。そしていま、世界は人類共通の敵である新型コロナウイルスへの対策に奔走しつつ、地球環境と子どもたちの未来を守るための本格的な脱炭素社会実現へ向け、歴史的なパラダイムシフトの真っ只中にあるといえます。
日本がこの先も影響力ある国として生き残っていくには、常に国際ビジネスの潮流を察知し、正しい価値判断でそれぞれの組織が目標を達成していくための研究活動や事例の共有などが大変重要になります。そうした意味で、グローバルビジネス学会に求められる役割は今後ますます大きくなるものと確信しております。多様なステークホルダーとの関わりを通し、新しい知見やアイデアをさらに糾合し、外部に発信していく必要があるでしょう。
中林新会長は日米政界での活動実績や国際政治学者・評論家としての視点、そしてそのお人柄も含め、グローバルビジネス学会の会長に相応しい方と存じております。また豊富なアカデミックな知見を持つ秀島栄三新理事長、そして平林信隆新副会長のサポートのもとに、中林新会長が日本社会から昨今求められる女性リーダーの象徴的存在となることを期待しています。
グローバルビジネス学会の、今後ますますの発展を心より祈念しております。
(2021年7月7日)

橋本徹  一般財団法人日本経済研究所理事 / 国際基督教大学前理事長 / 元富士銀行頭取

グローバルビジネス学会の発足に当たって

グローバルビジネス学会の発足を心よりお慶び申し上げます。
今、我が国企業の事業活動は急速にグローバル化しつつあり、グローバルビジネスに役立つ人材が広く求められていることは申すまでもありません。このような中で、グローバル人材の育成を目的のひとつとするグルーバルビジネス学会が設立されたことは誠に時宜を得たものと考えます。
私は、グローバル人材に求められる能力として以下の3つを強調したいと考えます。
まず第一は、発信力(コミュニケーション力)です。今や、英語が事実上の国際言語でありますから、英語で自らの考え、意見を発信し、外国人と堂々と議論できる能力が求められます。そのためには初等教育から国語と並んで英語、それも読み書きだけではなく聴き話す能力を身に付けさせることが肝要だと考えます。
第二に、発信する内容が傾聴に値するものでなければなりません。いくら英語が上手でも、話す内容が聴くに値するものでなければ誰も耳を傾けてくれないでしょう。傾聴に値することを話すためには、平生から広い教養を身に付け、自らよく考え、独創力を磨き、物事について自らの考え、意見をしっかりと持つことが肝要です。
第三は、異文化への理解力です。グローバルビジネスの現場では、異文化の中で育った様々な人々と一緒に仕事をしなければなりません。そこで、それらの人々の文化的背景を良く知らないと、彼らの言動を理解することができず、無用な摩擦を生じ、仕事が円滑に捗りません。そこで、外国人と接する際には、その人の文化的背景を良く勉強し、理解し、多様性(ダイバーシティ)を包容することが肝要です。
ただ、私はグローバル人材の育成については全く悲観しておりません。なぜならば、次代を担う若者達の中には、帰国子女をはじめ、何らかの形で海外経験を有している者も多く、グローバル人材の素材は増えつつあるように思うからです。そうした若者達が更に良く勉強して、広い教養と独創的な思考力を身に付け、日本人としてのアイデンティティもしっかりと保ちながら、外国の文化も理解し、外国人から注目され、尊敬されるグローバル人材に育っていくことを期待し、その育成に本学会が大きく貢献されることを心より祈っております。

岩﨑哲夫  株式会社IIOSS取締役会長 コファウンダー

私は米国西海岸のシリコンバレーと縁のある仕事に40年間も関ってきました。この間当地で生まれてきた産業は半導体・PC・ソフトウェア・eコマースやインターネット・そしてクラウドコンピューティングの5つに上り、それらの恩恵なしの人間社会は今日では成り立たないものになりました。想像もつかない恐ろしいほどのインパクトです。5大産業創造の母は「人間の夢(欲望)」と、それを可能とした「テクノロジー」です。現在の技術レベルを示す象徴的な事例ともいえますが、角砂糖サイズの半導体キューブにニューヨーク州立図書館の全蔵書が収容され、必要な知識が瞬時に検索され取り出され、ただ同然のコストで世界中に配信され、ほしいものの全てが居間から注文が出来る時代です。かつての「知と情報」をベースとする産業エコシステムは、技術の発展がもたらした変化の中で音を立てて崩れ、すっかり様変わりしてしまいました。
あらゆるものの境界が消えつつある「シームレス時代」入りしたともいえます。国も産業もコミュニティも例外ではありません。この変化の真只中にいる企業も、旧来の枠組みでの事業モデルが機能しなくなることで、新しいモデルへの離脱を迫られるわけです。現在、シームレス化が進んだとしても世界が一様になるなんてことはなく、出現した新しい環境に適合するグローバルとローカルが混在するハイブリットモデルの模索が続くと思います。ただ、世界には多くの不安定要素が残っており、新しいモデルの模索も容易ではありませんが、人材育成を目的に設立された当学会が半歩先の望ましいハイブリットモデルの姿とそれへのアプローチを示し、実践することにも貢献してほしいと思います。

小林潔司  京都大学経営管理大学院特任教授

退任のごあいさつ

アカデミックの世界でも急速に進むグローバル化。グローバルビジネス学会は、グローバルな社会で活躍できる人材の育成、グローバルビジネスモデルの展開に関する研究やベストプラクティスに関する情報共有を促進することを目的としています。
2011年3月の東日本大震災で甚大な被害を受けた日本社会は、企業活動がグローバル社会の中で展開するサプライチェーンに高度に依存していることを改めて認識しました。その一方で、日本社会では、業界や業態、分野を越えて横方向に情報が流れにくい。要素技術は強いけれども、システムインテグレーションが苦手な社会であることを痛感しました。このような状況の中で、産官学にわたり学際的・分野横断的に会員の皆様が交流できるような場が必要だと考え、グローバルビジネス学会の設立に至りました。爾来、浅学菲才の身ながら、学会理事長として新たな交流や学術的な切磋琢磨の場を築くべく学会運営に携わって参りました。
東日本大震災から10年が経過しました。この間に、論文集グローバルビジネスジャーナルの発行、研究発表会の開催、研究部会・事業部会の活動、SGB賞(著作賞・論文賞)を設定するなど、学会としての陣容が整って参りました。さらに、学会活動を支える若手の実務家や研究者が育ってまいりました。今後の学会運営は新しい執行部にゆだねられますが、今後とも学会運営に皆様方の暖かいご支援をお願いするとともに学会の益々の発展を祈念します。
(2021年7月7日)

井之上喬  株式会社井之上パブリックリレーションズ代表取締役会長 / 京都大学経営管理大学院特命教授

退任のごあいさつ

当「グローバルビジネス学会」は、2012年4月に設立されました。その淵源は、前年の3月11日に起きた歴史上類を見ない大災害にあります。サプライチェーンの崩壊は世界がグローバルに繋がっていることを改めて我々に突き付け、それゆえ日本人は世界に向けて情報発信し続け、同時に人材を育成していかねばならないとの思いを強くいたしました。
その矢先に京都大学の小林教授と出会い、そしてアフラックの大竹名誉会長との語らいにより、私の心にあったアカデミズムと実務が融合する「グローバルビジネス学会」の輪郭が明確になりました。
実務に加え、教育現場でもパブリック・リレーションズの人材育成を加速化できる喜びは、グローバルビジネス学会の傘下に「国際経済連携協定委員会」などの新たな研究会を紡ぎだすこととなりました。その時々の最もホットで核心的なテーマを、AIから地方創生に至るまで分野横断的かつ包括的に取り上げ、文字通り第一線のステークホルダーを結集して幾多の全国大会や研究発表会を開催。日本社会そして国際社会に対し、アカデミズムと実務が融合した知見と知恵の成果を示し、より健全で骨太な世論形成にも寄与できたのではないかと自負しております。
とりわけ当時反対が趨勢を示していたTPPの日本参加においては、道路公団総裁も務めた近藤剛委員長はじめ、ご関係の皆さまの貴き熱意とご尽力がその実現に少なからず寄与したのではないかと考えています。
2021年7月7日からは若い世代にバトンタッチされ新たな体制となります。創立の思いを皆さまと深く分かち合いながら、本学会のさらなる発展のために、私も引き続き尽力して参る所存です。これまで皆様より賜った、数多くのご支援に心より御礼申し上げます。
(2021年7月7日)

定款

学会定款

グローバルビジネス学会定款

学会倫理綱領

グローバルビジネス学会倫理綱領