「GBJ賞」は、会員による優秀な著書および論⽂に対し、その業績を広く顕彰することを⽬的として、2021年度より設けられました。

第5回目賞表彰式は、2025年11月30日（日）大阪大学豊中キャンパスで開催された2025年度研究発表会と同日に行われ、受賞者には表彰状および副賞として卓上置時計が授与されました。

〔著書部門〕

タイトル： 混乱のアメリカと日本の未来

著者：中林美恵子

授賞理由：本書は、分断と混迷が進行する現代アメリカの内政・外交を的確に分析し、その影響が日本や国際社会にどのように波及するかを多角的に論じた、社会的意義の高い著書である。著者はアメリカ連邦議会上院予算委員会における勤務経験を通じて得た知見を基に、現場感覚に根ざした実証的かつ説得力ある考察を展開しており、読者に深い理解と広い視野をもたらしている。

　本書は、複雑な国際情勢を平易に解説しつつ、米中関係、国際紛争、日米関係の現状と将来を具体的かつ包括的に提示しており、専門家のみならず一般読者にも有益な内容となっている。また、アメリカの政策動向の背景理解に資するものであり、市民的関心を高める上で有用である。

以上より、専門性と公共性を兼ね備えた本書は、国際政治への理解を促進し一般書として社会に貢献するものであるため、審査委員会は2025年度GBJ賞著書部門に「混乱のアメリカと日本の未来」を選定する。

〔論文部門〕

タイトル： MITIGATING THE IMPACT OF COVID 19 AND THE RUSSIAN- UKRAINIAN WAR ON THE SEMICONDUCTOR INDUSTRY.

著者：Siwar BELGACEM and Keiji MURAKAMI

授賞理由：本論文は、日本の半導体産業について、新型コロナウイルスのパンデミックおよびロシア-ウクライナ戦争による混乱を緩和し、わが国の競争優位性を強化するための半導体サプライチェーンの現地化戦略の有効性を評価している。また本論文では包括的な分析の結果、半導体産業の現地化、多様化、事業拡大の要素を統合する戦略的アプローチを提示し、現地化の利点を最大化しながら、内在する課題に対処する手段を具体的に提唱している。

半導体産業についての分析やサプライチェーンの現地化に対する問題は、わが国だけではなく、現代のビジネス社会において国を問わず非常に重要なテーマであり、本論文の貢献はグローバルビジネスを対象とする本学会の論文賞にふさわしい内容となっている。加えて、本論文で得られた結果は、半導体サプライチェーンの現地化について、戦略レベルの半導体サプライチェーンマネジメントに独創的な分析を与えており学術性の高いものとなっている。　

以上より、審査委員会は2025年度GBJ賞論文部門に「MITIGATING THE IMPACT OF COVID 19 AND THE RUSSIAN- UKRAINIAN WAR ON THE SEMICONDUCTOR INDUSTRY.」を選定する。

（英訳）

This paper provides a thorough evaluation of localization strategies in Japan’s semiconductor supply chain, aimed at mitigating the disruptions caused by the COVID-19 pandemic and the Russia–Ukraine war. At the same time, it examines how these strategies can enhance Japan’s competitive position in the global market. Based on a comprehensive and methodologically sound analysis, the study presents a strategic framework that combines localization, diversification, and business expansion in the semiconductor industry. It offers clear and practical measures to help maximize the benefits of localization while addressing its associated challenges.

The topics of semiconductor industry resilience and supply chain localization are of pressing importance, not only for Japan but also for the global business community. The paper’s scholarly contribution is both timely and significant, making it well suited for recognition by the Global Business Journal, which promotes research on international business issues. Furthermore, the study delivers an original and insightful perspective on strategic-level semiconductor supply chain management, demonstrating a high level of academic rigor and innovation.

In recognition of these contributions, the Selection Committee has chosen to award the 2025 GBJ Paper Award to the paper titled “MITIGATING THE IMPACT OF COVID-19 AND THE RUSSIAN–UKRAINIAN WAR ON THE SEMICONDUCTOR INDUSTRY.”